もしかしたら不調のサインかも…”ごみ屋敷”は排除ではなく支援が重要

ご近所トラブルの1つとして耳にする”ごみ屋敷”。
それは何故か高齢の方が多いと感じるが、東京都健康長寿医療センターの研究によって原因が明らかになりました。

それは、”ディオゲネス症候群”と呼ばれるものであり、研究者の井藤氏によると「誰もがなる可能性はあり、地域から排除するのではなく、該当者が心身を壊す前に継続的な支援を行う必要がある。」といいます。

ディオゲネス症候群とは?

これは、樽の中に住んでいたとされるギリシャの哲学者ディオゲネスから名づけられたもので、1960年代にイギリスで初めて報告のあった状態です。
心的外傷を負った人や高齢者が住環境や身なりなどの衛生に無頓着となり、援助の申し出も拒否してしまう状態を指します。
定義については長年にわたり議論されていますが、”セルフネグレクト”(自分の面倒を見なくなる)の一例と指摘されているのです。

研究内容

同氏は東京都内で精神科医として訪問、対応した270人の高齢者からこの症候群に該当する人を抽出し特徴を調べました。
270人の内、該当者は61人で非該当者よりも独身・独居や生活保護受給率が高く、暮らしを支えてくれるような身内などの不在がうかがえたのです。
認知症の症状も進んでおり、中等度以上の人が54%に達しました。その他59%に歩行機能の低下、33%に排せつリハビリ用のパンツが必要であり、生活の自立度は低く、歩行や入浴に介助が必要な人が多かった。
長期の死亡率に差はなかったものの、1年以内では該当者の方が死亡率が高く、早期に支援する重要性と、支援による改善が見込めることが示されたと言います。

結果から同氏は、セルフネグレクトによる体調と住環境の衛生悪化、支援を拒絶する事による社会的孤立にあると言います。
該当者の多くは、支援を求める煩わしさや迷惑をかけたくない気持ち、自立しているというプライド、人間関係のトラブルなど些細なきっかけによりそのような状況に陥っているのです。
加えて同氏は「食べ物を買い込んで腐らせる人は栄養状態に不安が、傷にタオルを巻きつける人は自分で何とかしたいという表れかもしれない。そうした無意識の”求め”に気づき改善を図りたい。」と述べています。

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