朝食を摂ることは健康に良い、と聞いたことのある人は多いだろう。
この言葉を実証する、中国で朝食がもつ効果に関する調査が行われた。
この調査は、中国の看護大学の女子学生を対象に実施された。
朝食の回数とうつ症状
調査では朝食を摂る頻度とともに、回答者の環境や条件( 年齢・飲酒喫煙の習慣・両親の学歴・配偶者の有無等 )と
20の質問で構成されたうつの自己評価尺度(self-rating depression scale;SDS)が記録された。
SDSのスコアは20~80点の範囲で示され、50点以上の場合「うつ症状あり」と判定された。
すると、朝食を抜く頻度が高い学生は、うつ評価の点数も高くなることがわかった。
調査の結果、朝食を摂る頻度は
①週に0~3回摂る:135人(19.1%)
②週に4〜6回摂る:256人(36.2%)
③毎日摂る:315人(44.6%)であった。
3つのグループを比較すると、年齢や飲酒喫煙の習慣、両親の学歴・配偶者の有無等の項目に大きな差はみられなかった。
それに対して、喫煙者の割合は、
①0~3回のグループは9.6%
②4〜6回のグループは5.9%
③毎日のグループは2.5%であり
朝食を抜くグループほど喫煙者も多いということがわかった。
また、SDSスコア50点以上で 「うつ症状あり」 とされた割合も、以下の通りとなっている。
①19.3%
②12.1%
③5.7%
この記録より、朝食を抜くグループほどうつ状態にある学生が多いという結果となった。
感情と朝食のつながり
この結果から研究グループは、次のように述べている。
「朝食を日常的に食べる人は、野菜・果物・穀物などの食物繊維が豊富な食品を摂っていた。
正確な関連性は未だに不明だが、食物繊維やそれが発酵して生まれる成分は、さまざまな疾患との関連性を持つことが明らかにされつつある。
また食物繊維は便通を促す働きや、腸内で発酵され腸管環境を整える働きを持っている。
よって朝食を摂ることは、食物繊維の摂取量が増えるために腸内環境を改善する可能性がある」
腸は第2の脳とも言われ、感情にも深く関わっているとされる。
朝食による整腸作用は、メンタルの状態にも影響を及ぼすと考えられる。
研究グループによれば、これらの仕組みや関連性を明らかにするには、今後さらなる研究が必要とのことだ。