その不安、ひょっとすると腸内細菌のせい?ーマウスの脳細胞を変化させ不安を誘発

腸は”第二の脳”と呼ばれるほど、独自の神経ネットワークを持っており、脳からの指令が無くとも独立して活動することができるほど発達しています。
例えば、ストレスを感じたりするとお腹が痛くなった経験はありませんか?
それは、脳が自律神経を介して腸にストレスの刺激を伝えているからと言われています。

しかし今回の研究では、逆に腸内細菌が脳細胞にまで影響を与えていると発表されたのです。

アメリカのカリフォルニア工科大学によると、腸内細菌が作り出す”4-EPS”という小分子が、マウスの脳細胞を構造から変化させ、不安を引き起こしていました。
同研究チームでは、自閉症や統合失調症であるマウスの腸内細菌が”4-EPS”を多く生産させているということを過去に突き止めています。
これは、人に対しても同様で、自閉症スペクトラムの子どもの血液には、通常の子どもより7倍も高い”4-EPS”があることを報告しました。

そこで今回は、通常のマウスと”4-EPS”を生産するように変化させた腸内細菌を与えたマウスの2種類で比較検証を行いました。

その結果、”4-EPS”を多く出す腸内細菌を与えられたマウスは不安状態を示す行動パターンが増えていることが判明したのです。
その上、不安状態のマウスの脳内を調べてみると、脳の活動パターンなどが全体的に変化しており、不安と恐怖にかかわる脳領域が以前よりも活性化していることも分かりました。

“4-EPS”の生産を活発化させる腸内細菌は、人の体内にも存在していることから、人にも同様の影響を与えている可能性が示されたということです。

このことから、腸内細菌が作り出す物質によって精神まで影響をあたえ、不安を引き起こしている可能性があると分かりました。
この結果から、将来的には精神科で腸内細菌に対して作用する治療薬が処方される日が来るかもしれません。

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