日本人が一生のうちにがんと診断される確率は2人に1人と言われており、とても身近なものです。
と言っても最近は、早期発見できれば、それほど恐ろしい病ではなくなりました。
しかし進行がんの場合は、手術による切除や抗がん剤を投与しても転移や再発の可能性があります。
また、手術は切除により体の機能失われたり、薬剤は様々な副作用が考えらます。
そんな中、将来的な効果的な方法になるかもしれない研究が発表されました。
それは、がん細胞を強制的に眠らせる薬剤が開発されたのです。
それは、アメリカのマウントサイナイ医科大学(ISMMS)による発表で、がん細胞を一生涯「眠ったまま」にしておけば、がんで死亡する心配がなくなると考えたのです。
元々、がん細胞には、細胞自身を休眠状態にさせる事で、治療薬からの攻撃を受けなくさせるという厄介な能力がありました。
この能力があることで、時間経過によって同じ場所で増殖したり。別の部位に転移し新たな腫瘍をつくってしまいます。また、休眠状態に入ることで治療薬に対する耐性も身に着けるのです。
研究チームはその能力をむしろ活用できないかと研究を開始しました。
がん細胞の休眠を引き起こすにはNR2F1というタンパク質であり、研究の結果、そのタンパク質をC26という小分子によって活性化できることが判明したのです。
がん細胞は休眠状態に陥ると転移などもできなくなるため、体内にがんを共存させたまま日常をすごすことができるというわけです。
特に、乳がんではC26による治療効果が高いとみこまれており、NR2F1の発現レベルが低い(眠っていない)他のがんに対しても役立つ可能性があると研究者は述べています。
しかし、現状はマウスを用いての研究であるため、一刻も早い実現が求められます。
そうなれば、治療で苦しむ人も減り、やがては死因からがんが無くなる日もやってくるかもしれません。