スポーツクラブに通うことで、子どもの視力低下が抑えられる可能性があると、早稲田大学先端生命医科学センターの発表によりわかった。
視力と「環境要因」
近視は子供の頃に発症する例が多く、成人後の新規発症は少ない。
発症には遺伝要因と環境要因がある。
環境要因とは、勉強・ゲーム・パソコンなどの作業とされている。
そして、スポーツや野外での活動は近視の発症・進行を抑制する可能性があるとされている。
しかし、これまで視力と学習・スポーツの関係についての研究は行われていなかった。そこで行われたのが、今回の調査だ。
勉強とスポーツがもたらす影響
今回調査の対象となったのは、東京都港区内の公立小学校18校に通う6~12歳の生徒3,522人だ。
対象者のうち、通っている活動の内訳は以下の通りだった。
①学習塾のみ…785人
②スポーツクラブのみ…765人
③どちらにも通っている…1,506人
④習い事をしていない…466人
また、その中で眼鏡をかけている生徒は738人だった。
男児よりも女児に眼鏡使用者が多く、また学年が上がるほど眼鏡の使用率は高くなっていた。
④の習い事をしていないグループの眼鏡の使用率を基準として各グループを比較したところ、次のような結果が得られた。
①学習塾のみに通っている生徒
眼鏡の使用者率が④より上昇していることがわかった。
②スポーツクラブのみに通っている生徒は、メガネの使用者率が④より下がった。
③学習塾とスポーツクラブの両方に通っている生徒は④習い事をしていないグループとほぼ同じ結果となった。
また併せて、学習塾やスポーツクラブに通う頻度と眼鏡の使用率についての関連性も調査された。
その結果、学習塾に通う頻度が高いほど眼鏡使用率は高くなるが、スポーツクラブへ通う頻度の高さが眼鏡使用率を抑えるという関係が明らかになった。
成長期の近視の発症や進行を防ぐことは、その後の長い人生の視力にとっても重要だ。
今回の結果を受け、スポーツ環境の整備を求める声はさらに高まることが予想される。