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精神科医 るり先生に聞いた!精神科における家族のメンタルケア

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精神科における患者さんのサポートに、家族の存在は欠かせません。
そしてもしかすると、ご家族の皆さん自身が気づかないうちに、大きな負担を抱えてしまっているのかもしれません。
患者さんのご家族のメンタルケアには、どのようなことに気を付けたらいいのでしょうか?

今回、るり先生にお話を伺いました!

るり先生 精神科医 Twitter アイコン

るり先生

精神科医
医学博士、精神科専門医、精神保健指定医、公認心理師。
精神科医の観点から、医療系の内容を中心に発信している。

―――先生が考えられる「家族への負担」とは、どんなものがございますか?

るり先生:

精神疾患は目に見えない疾患であるが故に、理解するのは簡単ではありません。

そしてそれは、一番身近にいるご家族も例外ではなく、距離が近いために逆に一歩引いて見ることが難しくなってしまい、患者さんの状態の変化に振り回されてしまったり、感情的に巻き込まれてしまうことがあります。

また、患者さんが1人で病院を受診したり、支援機関などに行くことができない場合には付き添って行ったり、場合によっては受診や各種手続きを患者さんの代わりに行わなくてはならないこともあるかと思います。

患者さんの体調の変化を日々気にかけるとともに、体調を悪化させないためにストレスをなるべくかけないように配慮するといったことも、ご家族にとっては負担になってしまうことがあるかと思います。

病院 受付 手続き 

―――先生が患者さんのご家族へおすすめされたい、負担を軽くする方法等がございましたら、お教えいただけますと幸いです!

るり先生:

ご家族として大事なのは、「頑張りすぎない」ことです。

患者さんのことが大切なのはわかりますが、ぜひ自分の時間や人生も大事にして欲しいと思っています。

精神疾患の種類にもよりますが、長くつきあっていかなくてはいけない場合も多くあります。

そんなときに、頑張りすぎてしまってご家族の方が先に参ってしまっては、患者さんのためにもなりません。

短距離走ではなく、長距離走の感覚で伴走することが大切です。

原則として、患者さんの問題は患者さん自身の問題であり、ご家族が何もかもを抱え込む必要はありませんが、逆に極端に突き放してしまうのではなく、適度な距離感で患者さんをサポートして頂きたいと思います。

精神科には、ご家族の負担を減らすために、例えば以下の様なサービスがあります。

必要に応じて活用を検討してみてください。

・ショートステイ(短期入所):短期間だけ、施設に入所することができる

・訪問看護:看護師や精神保健福祉士が自宅へ訪問し、医療的な相談や身の周りのことを手伝ってくれる

・家族会:精神疾患の患者さんの家族が、お互いに悩み相談をしたり情報交換をする

さらに、ご家族が病気について学ぶことも大切です。

病気に対する知識がないと、どう対応していいのかわからなくなってしまいますが、概要を知っているだけでも精神的な余裕が生まれます。

インターネットでは情報も玉石混合なので、大きな本屋さんの精神医学のコーナーなどで、分かりやすそうな本を探してみるのが良いと思います。

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―――精神科医として、インフルエンサーとしてご活躍される先生が、ご自身の健康を保つために、どんなことを実践されていますか?

るり先生:

インフルエンサーというのもおこがましいのですが、個人的に心がけていることを考えてみると、以下のようなことがあるかと思います。

・睡眠をよくとる

・仕事とプライベートのオンオフを意識的に分ける。自宅にはなるべく仕事を持ち込まず、職場やカフェなどでする

・なるべく運動する機会を増やす

・自分で自分の人生をコントロールするという意識をもつ

1〜3番目は当たり前のことなので特に説明は不要かと思いますが、4番目については少し補足させてください。

誰しも経験があるかと思いますが、他人から頼まれた面倒な仕事や用事を訳もわからずイヤイヤやるのはストレスがたまるものです。

これは、他人のために自分の貴重な時間の一部を切り売りするという行為で、ある意味では自分の人生の一部を他人にコントロールされていると言えるかと思います。

一方で、自分で計画した仕事や用事であれば、比較的ストレス無くこなすことができるのではないでしょうか。

同じことに取り組むのでも、他人に言われてイヤイヤやるのと、自分自身で判断し自分にとって何か意味があると捉えてやるのでは全くモチベーションが変わりますし、得られる学びも異なります。

社会の中で生きている以上は時にはやりたくない仕事や用事をこなさなくてはいけないこともありますが、可能な限り“自分自身で”意味付けをするという姿勢でいる方がストレスを少なく生きられるのではないかと思います。

僕自身としては、どんなに忙しかったとしても、それが自分にとって時間を費やすに値するものであれば頑張ろうと思えますし、もし、色々と考えてみてもそこに価値を感じられなければなるべく手を引くように心がけています。

そのように、自分自身の人生を主体的にコントロールするという意識を持つことが、自分の精神的な健康を保つためには大事かなと思っています。

自由 人生 前向き 後ろ姿

―――るり先生、本当にありがとうございました!

精神疾患の患者さんのご家族の負担を軽減するためには、頑張りすぎず、時には支援サービスを利用して、患者さんと距離を置くことも大切なんですね。
また、病気についてちゃんと知っておくことで精神的な余裕が生まれるということも、とても勉強になりました!
そして、日々を生きる上で「自分で自分の人生をコントロールする」という意識を持つことが、心の健康、ひいては人生全体に重要ということがわかりました。

るり先生はTwitterにて、精神科医の観点から、医療系の内容を中心に発信されています。
ぜひご覧ください!


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