夜型人間にとっての早起きは、三文の”損”?ー「クロノタイプ」と生産性には関連が!

  • 2022年4月4日
  • 2022年4月2日
  • 健康

「クロノタイプ」という言葉、皆さんはご存知でしょうか?
端的に言えば”体内時計の傾向”という意味なのですが、どうやら仕事や勉学などのパフォーマンス(生産性)に「クロノタイプ」が関わっているというのです。

今回、東京医科大学精神医学分野の志村氏ら研究グループは約1万人を対象にした調査にて、その関連を明らかにしました。

あなたはどのタイプ?

クロノタイプについてもう少し具体的に説明すると、以下のようになります。

個人が一日の中で、どの時間帯が最も活動的であるかを示す時間的特性。

いわゆる、朝型・夜型・中間型などの生活習慣を反映した特性を示す。

これは、個人が生まれつき持っている体内時計に左右され、遺伝や細胞周期が起因しているため、後天的に変えることが難しいと言われています。
以下に、それぞれの特徴をまとめました。

中間型は、一般的な社会活動の流れ(太陽の動き)と同じような体内時計の人を指します。
割合的には人口の約半数が該当しており、午前中が一番生産性が高く、ランチタイム以降はパフォーマンスが落ちていきます。

一方朝型は、中間型よりもより朝に強いのが特徴です。というのも、他のタイプに比べ体温が朝早くから上昇するため目覚めが良く、一番生産性の高い時間帯は午前中と言うことになります。
反動で夜は、体温の下がり方が急なので比較的早い時間帯に眠くなります。
そのため、夜勤などに従事すると生活時間が合わずストレスを感じやすい状況になります。

最後に夜型は、朝型と真逆と考えると分かりやすいでしょう。
一番生産性の高い時間帯は、午後から夕方にかけてであり、夜遅くまでの起きていることが苦になりません。
しかし体温の上がり下がりが穏やかであるため、社会生活のパターンに合わせると睡眠時間が確保しにくく、ストレスも感じやすくなると言われています。

これら体内時計のリズムに反して生活をする(朝型の人が夜勤に従事したり、夜型の人が早朝勤務をするなど)と発がんリスクや死亡率の上昇など、様々な健康問題が発生することがこれまでの研究で明らかになっているそうです。

また近年では、勤務はしているものの、何らかの不調で生産性が上がらない「プレゼンティズム」という現象が問題になっています。
不調というと個々人の問題として捉えがちですが、社会にとっては欠勤や休業などよりも経済損失をもたらしているという見方もあるのです。

そこで研究チームは、クロノタイプと生産性に関連するのか、早寝早起きがもたらす生産性への影響などを調査するため、本研究が行われました。

研究について

今回の調査は、2017年~2019年に第三次産業42社(IT、官公庁、金融、放送業、コンサル業など)の従業員8,155名を対象として質問紙調査が行われました。(平均年齢36.7歳)

調査には体内時計の指標の1つである、”MSFsc”を用いり検討しました。これは、就業就学などの規制がない日(自然に眠り自然に起きたとき)の睡眠時間帯の中央時刻を意味しています。

調査結果をまとめたところ、対象者のMSFscは平均4:16となりました。この時刻の大体前後4時間が多くの人の寝起き刻ということを表しています。
つまり、0時過ぎに眠り8時過ぎに起きるのが自然なリズムであるという人が最も多いということです。

一方、分布には、22:30頃に寝て6:30前に起きる朝型の人や、1:30以降に寝て9:30以降に起きる夜型の人も見られました。
これらの違いは、クロノタイプによるものだと考えられます。

そして解析の結果、全体としては”夜更かし”と”早起き”が、それぞれ生産性低下と関連していると分かりました。
詳細としては、1時間の遅寝で0.29%、1時間の早起きで0.14%と生産性が低下していたと言います。

さらに生産性への影響は、クロノタイプによって異なることも明らかとなりました。
まず朝型の人にとっては、起床時間では生産性低下は見られないものの、入眠時間が1時間遅れると0.48%の低下がみられたとの事です。
反対に夜型の人にとっては、入眠時間に影響はないものの、起床時間が1時間早まることで0.26%の生産性低下がみられたといいます。

以上の結果をまとめると、朝型の”夜更かし”と夜型の”早起き”は生産性の低下や体の不調に繋がる可能性があると明らかになりました。
また、夜型においては直接の関連はないものの、睡眠の問題がおきることでプレゼンティズムが生じやすくなることも分かりました。

社会生活をおくる中で、自分のクロノタイムに合わせて行動するというのは個人レベルでは中々難しいです。しかし、その中でも質の良い睡眠をとることや無理な夜更かし、早起きをしないことが大切でしょう。

また将来的には、社会全体で生産性に着目し、各タイプに最適化した始業時間を設けることが期待されます。

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