近年ますます取り上げられている、過労死やワークライフバランスについての議論。
身体的な問題だけでなく、うつ病などの精神疾患発症による自殺なども話題となっています。
しかし、「ワークライフバランスを整える」とは、結局どうすれば良いのでしょうか。
今回は医師の働き方について発信されている、りん先生(@doctor_rin_)にお話を伺いました。
りん先生
麻酔科医。『若手医師だって医局に縛られず働ける!』をテーマに情報を発信。自身のサイト「すとれすふりードクター」にて、若手医師の働き方・QOL向上について解説している。
りん先生運営サイト:すとれすふりードクター
―――りん先生がワークライフバランスを意識される理由についてお聞かせください!
ポリクリや初期研修医の時に働かれている先生方を見て、ライフワークバランスをうまくコントロールできていないと苦しい働き方になってしまうと思ったからです。
医師の仕事は体力勝負で、家庭を顧みず働いたり、時には自身を犠牲にして医療に携わることがあります。
もちろんその姿勢は患者さんから見て理想の医師像なのかもしれませんが、それが全ての医師にとって幸せとは限りません。
医師も人間です。
家に帰って子供と過ごす時間が大切な人もいれば、週4日程度の働き方がベストな人もいます。
身を粉にして働くことが好きな医師は良いのですが、そうではない医師が激しい働き方をすると返って苦しくなります。
私自身、実際に苦しそうに働く医師を見てきました。
だからこそ自分はライフワークバランスを保ち、自分も幸せ、家庭も幸せ、そして患者さんに接するときは限られた時間内でも最大限の医療を施せるようになろうと考えました。
故にライフワークバランスを意識した働き方をしています。
―――実際の先生方の姿や、ご自身のことがきっかけだったのですね。
「縛られない」生き方のメリットはとは何でしょうか?
自分の考える「縛られない」大きなメリットは3つあります。
それが①場所、②時間、③人です。
まず①の場所。
これは特に医局に所属されている先生なら悩まれることが多いと思います。例えば『来年はどこで働かされるんだろう…』と不安に感じませんか。
行きたくない土地や病院に飛ばされる可能性もあります。
家族と離れて暮らさなくてはいけない可能性もあります。
私はそんな人事に怯えるのが嫌だったので自分で“場所”を選べるように医局フリーで働いています。
次に②時間について。
多くの医師が『仕事が嫌い』なのではなく『長時間働かされる“働き方“』が嫌いなのだと思います。
だってTwitterでこんなにも医クラの議論が活発ってことは、みんな医学は好きってことじゃないですか笑
でも不平不満が出るのは『仕事』が嫌なのではなく『長時間働くのはキツい』からだと思うんですよね。
なので自分の望まないような『あまりにも長い労働時間』は避けたいと考えます。
そう行った点で「縛られずに」働く時間を自分で調整できるのはとても良いです。
最後に③人について。
大体人の悩みって人間関係からきます。
多少職場がつらくとも働き方がキツくとも、人間関係がうまく行っていれば乗り越えられることが多いんです。
ってことは悩みの多くが人間関係に起因するんですよね。
『縛られずに働く』と、人間関係で我慢しなくて済みます。
万が一合わない人が職場にいたら『辞めて』しまうことができるからです。
環境を変えて自分で自分の居場所を移せば良いのです。
逆にその環境が気に入っているのであれば留まっても良いですしね!
付き合いたい人とは関わりを持って、そうでない人とは距離を取れる。
これも人間関係を自由に捉えられる特権です。
このように場所、時間、人に縛られずに働くのが自分の理想の働き方です。
―――りん先生にとって「自分を大切にする」こととは?
『自分を大切にする』、とは自分に嘘をつかないことだと思います。
自分を大切にできない人は他人の価値観で生きています。
『上司にこう言われた』とか『周りにこう思われるかもしれない』とか。
自分軸がないんですよね。
だから自分のいる環境に嫌気が刺しても抜け出す一歩が踏み出せません。
それに対して自分軸で生きると、自分に嘘をつかないので自身の価値観で生きられます。
『私がこの病院で働きたいから頑張ろう』とか『誰がなんと言おうとこの働き方が自分に合ってるから良いんだ!』とか。
自分で選択したからこそ自分の人生を大事にできるし踏ん張りが効きます。
ひいては自分が自分を大切にすることにつながります。
だからこそ『自分を大切にする』、は自分に嘘をつかず、人生を大切にすることだと思います。
―――最後に、先生から皆さんへメッセージをお願いします。
私のツイッター、ブログにはたくさんの相談がきます。
みなさん職場環境に悩まれていたり、今の病院・医局を辞めたい人が多いです。
相談の多くは『辞めて上司にこう思われたらどうしよう』とか『周りの目が怖い』とかなんですよね。
でもそんなのどうだって良いじゃないですか。
自分の人生だし自分の好きなように働いたら良いんです。
それが『自分を大切にする』だと思います。
なので相談に来ていただく多くの人には自分を大切にして一歩踏みだす勇気を持ってほしいと思いますね。
応援しています!
―――りん先生、本当にありがとうございました!
一言でワークライフバランスと言っても、では実際どうすれば良いか、曖昧に感じることも多いはず。
りん先生が挙げられた具体例や要素は、自分を大切にするための道筋を示しています。
後はその道筋に従うだけ。
ぜひ踏み出していきましょう。
りん先生はTwitterやご自身のサイト「すとれすふりードクター」にて、日々「意志の縛られない働き方」について発信されています。
ぜひチェックください!