みなさんは「蛙化現象」をご存じでしょうか?
これは、「好きな相手に好意を持たれるようになると、自分が反対に相手のことが嫌いになってしまう」ことを指します。恐ろしいですね。
相手にとっては、たまったものではありません。
そして現在、これは若者の間で多く見られるようになっている心理的現象とされ、人間関係への悪影響を懸念する声も上がっています。
そこで今回、ゆうメンタルクリニックのゆうきゆう先生にお話を伺いました!
ゆうきゆう医師(画像はゆうきゆう医師作・アニメで分かる心療内科より)
精神科医。作家・漫画原作者
ゆうメンタルクリニック 院長
「マンガで分かる心療内科」等をはじめとし、心理学・精神医学について執筆・情報発信を行う。
著作は250冊を超える。
―――「蛙化現象」の由来について、お教えください!
グリム童話で、カエルにキスをすると王子様になるという話があるのですが、そこから転じて「好きだった相手が、自分のことを好きになってくると、逆に嫌いになってしまう」という現象を指します。
童話とは逆方向ですが、状況が(逆に)似ているため、そのように名付けられたようです。
でも、名称だけでこれだけ伝わらない用語も珍しいな、と思います。
―――なぜ人は、蛙化現象に陥ってしまうのでしょうか?そして、蛙化現象が特に若者に多くみられる理由について、先生の見解をお聞かせください。
「自分に自信がなく、自分のことを強く好きだと思えない」のだと考えられます。
そのため、自分のことが好きな相手にたいして「価値観が合わない」とか「ダマしているんじゃないか」と感じてしまうと考えられます。
ラーメンがそこまで好きではない人の前に「ラーメンが大好き!」という人が現れたら、価値観が合わないと思いますよね。それに似た面があるのではないでしょうか。
若者に多いのは、まだ根本的に自分自身にたいする価値観がまだ成立していないから、ではないでしょうか。
特にSNSの発展で多くの人と比較されますから、なおさら自信がない人が増えているかもしれません。
―――性別に関連して考えた場合、この現象は特に女性に多いのでしょうか?
その傾向はありえます。
特に女性は男性以上に、恋愛の最初の一手で「慎重」になりますから、相手の行為にたいして、無意識に警戒心を持つ可能性もあります。
しかし老若男女、起こり得るかもしれません。
―――ここまで蛙化現象の詳細についてお伺いしてまいりました。それでは蛙化現象を防ぐ対策について、お教えいただけますと幸いです。
本人にとっての対策、ということであれば、とにかくできるかぎり「お礼」を伝えるのも手だと思います。
相手が好意を示してきたら、とにかく「ありがとう!」と言うこと。
否定したくなっても、それより先にお礼です。
すると相手にたいして歩み寄りの気持ちになり、好意を信じられやすくなるかもしれません。
また、完璧主義の人ほどうつになりやすい、とも言われているので、すべてをオール・オア・ナッシングで考えないことも大切です。
―――ゆうきゆう先生、ありがとうございました!
広がりつつある「蛙化現象」。
自分の中に生まれるネガティブな気持ちにのみ込まれないよう「感謝」と「完璧主義をやめる」ことを、ぜひ意識していきましょう。
イラスト制作 女医ちゃん