松崎先生が教える!怒りのタイプ分けと対処法2選

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人間の感情は常に揺れ動いています。
その中でも、「怒り」という感情は人間関係や心の健康にも大きな影響を及ぼします。
自分や他人の怒りについて知ることは、日々を健やかに生きるためにも大変重要です。

そこで今回、松崎先生にお話を伺いました!

精神科医 ぷしこノート(松崎朝樹)アイコン

松崎朝樹先生

精神科医。
各SNS、Youtube等を中心に、精神医学について情報発信を行う。
著書『精神診療プラチナマニュアル』『教養としての精神医学』。Youtube「精神科医 松崎朝樹の精神医学」

―――まずは「怒り」について、お教えいただけますと幸いです。

松崎先生:

人をはじめとして、生物には怒る機能があります。
そして機能は、目的があるから存在します。

例えばライオンが何頭もいれば肉を奪い合うように、人が何人もいれば何かを奪い合う状況が生じるものです。
そこで、「自分から何かを奪う存在を排除する」機能が怒りと言えますね。

まずシンプルに、自分からお金を奪おうとする人がいたら、人は怒ります。
他にも社会で働いていると、色んな場面で怒りが生じます。
例えば有給休暇が取れないなど、自分が正当に何かを得る権利があるはずなのに、それを認めようとしない上司がいれば人は腹を立てます。

他にも業績をごまかしたり自分の悪口を言いふらす同僚がいれば、当然怒る人が多いでしょう。
それは相手が自分の立場を奪おうとするから、怒りが湧くのです。
また、部下を危険な状況で働かせようとする上司がいれば、それは人の安全を奪う存在であり、部下の間で怒りが湧くのは容易に想像できます。

このように、怒りというのは「機能」として存在しています。

そしてもう一つ、「自尊心を回復させようとする怒り」があります。

過去に不当な目にあった。
過去に嫌なことを言われた。
このようなネガティブな過去の出来事を根に持ち、怒りを抱き続ける。

これは「相手を打ち負かすことで自尊心を回復させよう」という考えに基づいています。
ただ、怒りはいつも機能的に働くかというと、そうではありません。
怒りに基づいて行動したとき、本当に自尊心は回復できるのでしょうか。

相手に過去のことを突きつけたところで、相手は自分のやったことや言ったことを覚えていないものです。
見返してやろうと思ったところで、時間が経てば人間の立場も行動も変わります。

そうすると、自分が相手を見返したつもりでも相手には何も影響はなく、自分が疲弊するだけに終わってしまうこともあり得ます。
自尊心を回復させるためには、他人への怒りによって行動するのではなく、「自らが前に進むこと」の方がより有効と言えるでしょう。

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―――自分自身の怒りをコントロールすることは、簡単なことではありません。 怒りが湧き上がったときの対処法について、お聞かせください。

松崎先生:

そもそも「怒ること」は問題解決の一つでしかありません。
そして問題解決法は「怒ること」以外にも複数あると気づくことです。
例えばただ要求を伝えたり交渉したりすれば、怒らずとも自分の想いが伝わって希望通りになるかもしれません。
怒ることというのは、人間関係を悪くしたり、相手に与えなくていいダメージを与えたり、自分の評価を下げたり…いわば「副作用が多い方法」であることを意識しなければいけません。

楽しく会話し、人間関係を望ましい方向に持って行ける方が、素晴らしいのではないでしょうか。

ここからは、実際に怒りが湧いたときどうするかお話しします。
怒りはパッと瞬間的に湧いてしまうことが多いものです。
そこで用いられる方法に、怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」というものがあります。

まずは怒りを鎮めるため、時間を置く行動を取ります。
即実行できる方法としては、「6秒数える」という方法があります。
他にも100から7を順番に引いていくのもありです。
または、素数を数えるのも良いでしょう。

もし相手の目の前で怒ってしまいそうなときは、
「今は冷静に話せそうないので、一旦退席します」
と言うように伝えて、その場を離れましょう。

そして怒りが湧いたときは
「自分は○○すべき」
「○○は当然」
と思っていることが本当にそうなのか、自身に問いかけることが重要です。

「違う考え方や常識もあるんじゃないだろうか」
「立場が違えば、違った事情があるのではないか」
などの異なる視点を、落ち着く時間を稼いだ上で考え直してみましょう。

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―――また、「怒り」に飲まれてしまった人とのコミュニケーションは難しいものです。怒っている人へはどんな対処法が最適でしょうか?

松崎先生:

それでは次は「他人の怒り」について考えてみましょう。
これは、自分の怒りに対処する以上に難しいものがあります。

他人の怒りは、その人自身が解決すべき問題かもしれません。
その場合でも、自分はどう対応すべきか意識しておくことは重要です。

相手が怒っていたら、まずは以下の2点について考えてみましょう。

1、何に対して怒っているのか。
2、どう思って怒っているのか。

頭ごなしに怒っている相手を否定するのではなく、相手の立場をちゃんと確認するのです。
そして腹を立てた理由を聞いた上で、「腹が立つのも最もだ。」と認めてあげましょう。
その上で、事実や自分の事情・考えを伝え、相手と自分の間にある相違を共有しましょう。

基本的に「怒っている人」というのは、
「何かが損なわれた!」と困っている人です。
怒っている人を見たら、ただ否定するのではなく
「あの人は困ってるんだ」
という理解をすると、相手のことも少し違って見えてくるかもしれません。

そして最後に、一つ気をつけなくてはいけないことがあります。
それは「怒りを使って得をしようとする人」です。
具体的に言うと、怒りを道具として使い、周囲をコントロールするような人です。

「困っている人」「得をしようとする人」
怒っている人に遭遇したときは、この2つを意識するだけでも、相手の感情的に巻き込まれにくくなりますよ。

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―――松崎先生、本当にありがとうございました!

松崎先生の怒りに関する解説動画はこちらから!

怒りは私たちに必要な機能であると同時に、諸刃の剣でもあるということが分かりました。
感情は、何も対処しないでいると自身も飲み込まれ、流されてしまいます。
アンガーマネジメントや怒っている人への対処法を活用することが、心地よい環境を作っていく第一歩です。

松崎先生は他にも Twitter Instagram、そしてYoutube「精神科医 松崎朝樹の精神医学」にて、医学知識を発信されています。
ぜひチェックください!

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