認知症は65歳以上の5人に1人が発症するといわれており、様々な種類があります。
中でも、アルツハイマー型認知症などは根本的な治療が困難で、現在は対症療法しかありません。
そんな中、大阪市立大学などの研究グループが、ある2つの成分を合わせた点鼻薬が複数の認知症に効果を発揮したと発表しました。
そもそも認知症は、タンパク質(アミロイドβやタウ)が脳内に蓄積され、分子が複数集まった”オリゴマー”という状態になり発症すると言われています。
1994年同グループにより、”リファンピシン”という抗生物質(結核治療などに使用)が、オリゴマーを脳から排除し認知機能を改善する効果が実証されました。
しかしながら、この構成物質にはマイナス面として、肝障害などの副作用が起きてしまうのです。
そこでリファンピシンの副作用を抑えられるものとして、レスベラトロールに注目。
レスベラトロールとはポリフェノールの一種です。欧米では抗酸化作用のあるサプリメントとして使用されており、傷んだ神経細胞が自己修復するのを増強させる作用があると言われているのです。
このレスベラトロールとリファンピシンの合剤を作り、マウスを用いて週5日、計4日の実験を行いました。
その結果、レスベラトロール は神経細胞を修復する物質を増やし、リファンピシンはオリゴマーの結合を解き、抗酸化・抗炎症の働きをすることで相乗効果を発揮することがわかりました。また、内服ではなく鼻から投与することで血液を介さずに、脳へ直接到達できより高い効果であると判明したのです。
この合剤は、認知症の7割程を占めるアルツハイマー病の他、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症の予防効果が期待できるとの事です。
研究グループの富山氏は、今回の点鼻薬は既存のもの同士の組み合わせであるため安全性も高く、根本治療となるものであるため早く社会へ実装させたいと語ります。