人はなぜ甘いものをやめられず、太ってしまうのか。
その背景には「脳の反応速度」が実は深く関係しているという。
甘いものへの依存とダイエットの関係性について、ゆうメンタルクリニックの佐藤医師に話を聞いた。
◆ 甘いものはタバコよりも依存しやすい!?
依存の代表格といえばタバコのニコチンだが、このニコチンも脳が反応するまで吸ってから6~10秒ほどかかるとされており、吸って即、快感というわけではない。
一方、甘いものの場合は状況が大きく異なる。
脳が0.8秒前後で反応してしまうため、「食べた瞬間に、強い快感を抱くことができる」という。
佐藤医師は、この反応速度が依存症において非常に重要な要素だと指摘し、
「何かの行為から快感までの時間が短いほど、人間は依存してしまう」と話す。
◆ 動物が芸を覚えるのと同じメカニズム!?

また、佐藤医師は動物の学習を例に挙げて説明する。
「たとえばイルカが芸を覚えるのは、芸をしてすぐにエサがもらえるからだ。芸をしてからしばらくしてからエサをもらえたら、イルカも『え、なんでもらえたの? どの行為にたいして?』と思ってしまうだけで、なかなか芸を覚えない」
人間も同様で、何かの行為で即快感を抱くほど「あ、この行為って気持ちいいんだ」と学習しやすく、依存しやすくなるという。
◆ 人間は『快感の即効性』に弱い!
上記を踏まえて佐藤医師は、快感の即効性が依存のカギを握るとし、
「当然だが、『食べてから1年後に快感になる』ようなモノがあったとしたら、依存するとは思えない。『即!』というのは何より重要なのだ」と話す。
佐藤医師によると、だからこそ甘いものにハマってしまう人は非常に多いという。
「たとえば女性の場合、タバコを吸っている人はそこまで多くないが、女性のほぼすべてが、甘いものが大好きだ。男性であっても同様かもしれない」と分析している。
◆ 運動にはカロリー消費以外に意外な効果も!
ダイエットを望む人への助言として、佐藤医師は従来のアプローチに疑問を呈する。
「太ってしまう人や、ダイエットしたい人が、漠然と『甘いものをガマンしよう』と思っても、あまり効果はない」と指摘。

そんな中で、佐藤医師は「運動を取り入れること」が精神面へのアプローチにもなり効果的だと勧める。
「カロリー消費の意味合い以外に、運動によって気持ちが満たされる部分もあり、『甘いもので快感を得ないと』という気持ちが少しだけ落ち着く」
気持ちの切り替えにより甘いものを摂取する量が減り、ダイエットしやすくなるという。
「反応速度」という観点から甘いもの依存を理解することで、より効果的な対策が可能になる。
甘いものの誘惑に困っている方はぜひ意識してみてほしい。
【ネットの反応】
・食べた瞬間に快感って、そりゃやめられんよな…
・0.8秒で反応する脳って怖い
・運動は気分転換にも効果的なんですね!面倒だけどやっぱりやらなきゃダメか~
・タバコ人口が減った分糖分依存の人は増えてるんだろうね
東京大学医学部卒業。専門領域は発達障害と心理分析。
現在はゆうメンタルクリニック顧問。
大学ではコミュニケーションスキルの研究を主に行っており、「いかにうまく気持ちを伝えるか」をテーマとして書籍を執筆中。