YouTubeやサブスクアプリを使いすぎるとうつになる!?【精神科医が分析】

スマホやPCがあれば、いつでもどこでも動画が楽しめる時代。通勤中や寝る前、つい何時間も見続けてしまうという人も多いのではないだろうか。
そんな中、ブラジルの研究では「1日5時間以上動画を見る人はうつになりやすい」との報告がある。
これは本当に動画が原因なのだろうか。視聴時間とうつリスクの関係、そして“本当の要因”について、ゆうメンタルクリニックの佐藤医師に話を聞いた。

◆ 5時間以上動画を視聴する人はうつになりやすい!?

ブラジルで6万人以上の成人を対象にした大規模な研究により、1日5時間を超えて動画コンテンツを視聴する人はうつになりやすいという調査結果が得られたという。
しかし佐藤医師は、動画コンテンツの視聴が直接的に心に悪影響を与えているとは限らないと指摘する。

「大前提としてうつになっている人、気持ちが落ち込みやすい人というのは、本当に動けなくて何もやる気が湧かないからテレビや動画しか観ることができないのではないか」と分析している。

佐藤医師によると、テレビや動画がうつを増やすのではなく、うつになりやすい人間ほど動画を長く観てしまっているだけという可能性もあるという。

「5時間以上見ている人=うつになっていることが多いが、これは必ずしも本当に動画がうつを増やしているのではなく、うつっぽい人が動画を観ているだけと考えることもできる」と説明した。

◆ 動画を全く見ない人もうつのリスクあり

興味深いことに、この統計では1日に動画を1時間も観ないような人も、うつになりやすい人との関連性が非常に高かったという。
「1時間未満と5時間以上、この人たちが一番うつになりやすかった」と報告している。

1時間未満の場合について佐藤医師は、「例えばお仕事がとても忙しくて本当にテレビや動画を観る時間もないような人と、うつになりやすい人の関連性がすごく高い」と話す。

◆ 動画視聴にはポジティブな効果も!

一方、動画視聴のポジティブな側面について、佐藤医師は心理学者クラウディア・ハモンドの研究を紹介した。

ハモンドの研究では動画コンテンツを観ることは休息的にとても意味があり、リラックス効果があることが示されているという。

「いわゆるマインドフルネスなど、そういったものは休息的にも意味があると言われているが、動画コンテンツを観ることは実はそれと同等くらいに休息的な意味がある」と佐藤医師は説明する。

佐藤医師は
「実際に動画を見てその中でいろいろな人が話しているとか、テレビでも映画でも、もしくはYouTubeで誰かパーソナリティーの人が喋っているのを漠然と聞くことは、本当に休息的にある意味頭をからっぽというか、思考を抜いてその世界に浸るという意味では非常に意味がある」
と解説し、仕事で疲れて帰ってきて少し気持ちを安らげるために動画を観ることは悪いことではないと話す。

このような視聴は精神的にも悪いことではないとし「皆さんが見ている好きな動画があるのであれば、これは全然問題ないので観ていただいて良い」としている。

◆ 5時間以上の動画視聴には注意!

ただ、佐藤医師は「5時間以上の視聴」については注意を促している。

「5時間以上になっていると、根本的にそれ以外やることないとか、そういった別の問題もあるし、実際5時間以上でうつになりやすいという関連性も一応ゼロではないので、あまりにも長ければ少し気を付けましょう」と警鐘を鳴らす。

「動画そのものが悪いわけではないので、何か経験的な意味でそれを観るというのを継続していただくのは良いのではないか」と結論づけている。

皆さんの1日の動画視聴時間はどのくらいだろうか。
心当たりのある人は今日からぜひ意識して視聴するようにしてみてほしい。

【ネットの反応】

・何もしたくなくて動画だけ見てる…確かに。

・休息にもなるって聞いてちょっと安心しました。

・動画に依存してる感覚、ちょっとあるなあ

・5時間って意外とすぐ超える…無意識に見てるんだよな

佐藤 一
東京大学医学部卒業。専門領域は発達障害と心理分析。
現在はゆうメンタルクリニック顧問。
大学ではコミュニケーションスキルの研究を主に行っており、「いかにうまく気持ちを伝えるか」をテーマとして書籍を執筆中。

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