うつ病の人に「頑張れ」と言うのはタブーだと言われている。しかし、実はすべてのケースでそうとは限らないのだとか。
正しい知識と理解を深めるために、ゆうメンタルクリニックの佐藤一医師に話を聞いた。
東京大学医学部卒業。専門領域は発達障害と心理分析。
現在はゆうメンタルクリニック顧問。
大学ではコミュニケーションスキルの研究を主に行っており、「いかにうまく気持ちを伝えるか」をテーマとして書籍を執筆中。
一般的に「うつの方には『頑張って』と言ってはいけない」とされており、多くの人が一度は聞いたことがあるのではないかと思う。
ただ、軽度や中等度のうつ病患者に対しては「頑張れ」と声をかけることは悪いアドバイスではないという。
「少し積極的に活動性をアップしようと意識するだけでも軽度、中等度のうつレベルであるならば改善しやすくなる」と佐藤医師は話す。
重度のうつ病の場合、エネルギーを湧かせようとしても湧かず、動こうとしても動けないのが当然の状態である。この段階では無理に活動することは推奨されない。
一方、軽度または中等度のうつ病であれば、「できる限り、動ける範囲で動いた方が気持ちにも良いし、改善も早い」と佐藤医師は述べている。
「動ける気力がまだ少し残っているレベルのうつであれば、できる限りその気力を使って動いていただく方が良い」とのこと。
具体的な取り組み方として、「普段より気持ち早歩きする」など「このくらいならできるかも」という範囲を狙い、無理のない範囲で少し動きを早くするのがおすすめだという。
重度のうつ病の場合は、動こうとしても動けない、動作を早くしようとしても「もう限界」という状態になってしまうことがほとんど。そんな状況であれば、もちろん休息が最優先である。
しかしそのような状況でも可能な範囲で「できることを探してみる」ことは大切だという。
気持ちの波に「ハイテンションモード」と「ローテンションモード」というような自分なりの名前を付け、できることから見つけて実践すると良いとのこと。
「今まで読めなかった本を読む」など、以前からやりたかったことや、テンションが低くてもできる「ローテンションモード」の行動を用意しておき実行することで、「時間がムダになってしまった」という後悔を防ぎ、気持ちの回復が早まるとされる。
ただし、ローテンションモードに合う行動すら見つからないときは、「本当に休むべき」であり、「休むことが仕事だと思って、とにかくゆっくり休むこと」が重要だという。
うつ病の重症度に応じて適切な行動は変わるため、自分自身でできる無理のない範囲で対応していくことが大切である。
【ネットの反応】
・知り合いが小一時間散歩したら気持ちが晴れたって言ってたけど
今回の記事みたいな現象が起きてたってことなのかな
・重度うつの人にはとにかく休養が第一ですね。
・「時間がムダになってしまった」←これで落ち込むのまじわかる
・軽度とか中等度とか、素人に判断できるわけない