子宮頸がんは防げる!よもぎ先生が教える「二段構え」の予防法

sns

皆さんは、子宮頸がんについてどのくらいのことをご存じでしょうか?
子宮頸がんは、主に子宮頸部に発生する悪性腫瘍のことを指します。
若い人(20代後半~30代前半)や出産経験の多い方に多く見られ、毎年およそ1万人以上の女性がかかっているとされています。

ワクチン接種の推奨が行われていましたが、2013年頃に接種者から副反応を問題視する声もあり、接種の呼びかけが控えられていました。
そして最近、接種の推奨が再開されたことでも話題を集めています。

今回は子宮頸がんとその予防方法について、産婦人科医のよもぎ先生(@Yomogi_OBGY)にお話を伺いました。

よもぎ先生

産婦人科医。これまで1500人以上の出産をとりあげ、1万人以上を診察。
TwitterやYoutubeにて、女性の健康に関する「知っていると安心、知らないと損する」情報を発信中。

―――子宮頸がんにかかりやすくなる原因にはどのようなものがありますか?

子宮頸がんは癌の中でも珍しくウイルスで起こることがわかっている病気です。

ほとんどの子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルスというウイルスです。ヒトパピローマウイルスは性行為で感染します。そのため、初回の性交渉の年齢が若い人や、性交渉の相手が多い方は感染機会が増えるため、子宮頸がんの危険性が増します。

しかし、性交渉の相手が少ない、または普通の人が子宮頸がんにならないというわけではありません。よって、子宮頸がん=性的活動性が多い女性と決めつけるのは間違っていて、全ての女性が注意すべき病気です。また喫煙はヒトパピローマウイルスの持続感染のリスクとなるため、喫煙者は子宮頸がんになりやすくなると考えられます。

―――子宮頸がんはワクチンがあることでも知られていますね。
ワクチンには、どのくらい効果があるのでしょうか?

2019年に発表されたスコットランドの研究では、HPVワクチンを接種した世代は、接種していない世代に比べ、前がん病変が79~89%低下したという結果が示されています。

またHPVワクチンの接種が最も進んでいる国の一つにオーストラリアがあります。
オーストラリアでは、10年以上前からHPVワクチンと検診による子宮頸がん対策が行われてきました。
2019年のデータでは、オーストラリアの子宮頸がんの年間発症率は約10万人あたり約6人の割合で、日本の1/3以下です。
しかも、オーストラリアでは、今後も子宮頸がんの発症率は減り続け、2034年には子宮頸がんで亡くなる人はほぼいなくなるという予測もあります。(現在日本では毎年2000人以上が亡くなっています。)

HPVワクチンと子宮頸がん検診をしっかり正しく行えば、子宮頸がんはほとんどなくすことができる病気です。

―――ワクチンにはそんなに大きな効果があったんですね…!では、ワクチン以外にも適切な予防法はありますか?

子宮頸がんの予防は、HPVワクチンと頸がん検診の二段構えです。

頸がん検診は、内診台で受ける検査ですが、検査自体は子宮の出口(子宮腟部)を綿棒でこするだけなので数分で終わって、基本的には痛みのない人が多い検査です。
HPVワクチンは、すでに感染してしまったHPVを治癒することはできないですし、できてしまった前がん病変を小さくすることもできません。頸がん検診は、前がん病変を癌になる前に発見するための検査です。

HPVワクチンの効果は100%ではありませんので、HPVワクチンを接種した人も頸がん検診を受ける必要があります。また、HPVワクチンを未接種の方や、接種前に初回の性交渉があった人は、2年に1回の頸がん検診は絶対受けた方がいいと思います。

―――最後に、医師として先生から皆さんへメッセージをお願いします。

私は産婦人科医として、数多くの婦人科がん患者さんの診療に関わってきました。その中には残念ながら治療及ばす病気で命を落とす患者さんもいます。
そんな時、痛感するのはこの恐ろしい病気に対する予防の大切さです。

頸がん検診や婦人科検診はどうしても検査を受けるハードルが高いと思います。
しかし、子宮頸がんは若い年齢の女性が起こりやすく、かかると妊娠・出産に影響がある場合もある恐い病気です。
最近は女性医師だけの病院も増えていますし、婦人科受診は子宮頸がんだけでなく子宮内膜症や子宮筋腫など多くの女性に隠れている他の病気を見つける機会にもなります。
自分や大切な家族を守るために、ぜひ婦人科受診をお勧めします。

―――よもぎ先生、本当にありがとうございました!

子宮頸がんについて、よもぎ先生のお話から初めて知られた情報も多かったのではないでしょうか。
正しい知識をもとに、ぜひ予防法を実践していきましょう。
その一歩が、皆さんの未来を守ります。

Youtube 産婦人科医 よもぎチャンネル

参考文献 

日本産科婦人科 子宮頸がんとHPVワクチンに関する最新の知識と正しい理解のために

https://www.jsog.or.jp/uploads/files/jsogpolicy/HPV_Part1_3.1.pdf

Palmer T, et al: Prevalence of cervical disease at age 20 after immunization with bivalent HPV vaccine at age 12-13 in Scotland: retrospective population study. BMJ 365: 1161, 2019.

Hall MT et al: The projected timeframe until cervical cancer elimination in Australia: a modelling study. Lancet Public Health. 4: e19-e27, 2019.

最新情報をチェックしよう!