WHO(世界保健機関)の報告によると、自殺者の90%以上がいずれかの精神障害の診断がつく状態であるという。
そしてそのうちの約70%近くがうつ状態であると言われている。
その他に関しては、薬物・アルコールなどの物質関連障害、統合失調症、パーソナリティー障害の診断が多くなっている。
誰もが陥る「トンネル・ビジョン」
仕事、勉強、人間関係など、うつ状態になる理由は人それぞれだ。
しかしうつ状態になった人に共通して見られるのは「トンネル・ビジョン」だという。
これは、どんな人も陥る可能性のある心理状態だ。
トンネル・ビジョンとは、視野がトンネル化し、限られた部分しか見えなくなってしまうという現象を指す。
まるでトンネルの中から外をのぞいているように認知の範囲が狭まり、ネガティブなことにだけ意識が集中してしまうという。
自殺の要因として、この状態が続くことが一つとして挙げられる。
ここで重要なのが「第三者の目」だ。
うつ状態である本人には他の視点や選択肢が見えなくなっているため、視野を広げるためのサポートが必要になってくる。
具体的には、家族やパートナー、友人に話を聞いてもらうのが有効だ。
身近な人に話しにくいのであれば、カウンセリングや精神科・心療内科に行くという手もある。
大切なのは「今の自分の状況」を誰かに共有し、客観的な視点を得ること。
そうすれば、トンネル・ビジョンも脱することは十分に可能だ。