環境大気汚染は、体内の炎症反応を引き起こすなど、健康への大きなリスクをもたらすという。
過去にはイタリア・ベローナ大学にて自己免疫疾患とPM10及びPM2.5の濃度に焦点を当てた研究が行われた。
WHOによると、世界の人口の99%が、大気汚染度の基準に満たない地域に住んでいると報告されている。
汚染物質を吸引すると、免疫、心血管、神経発達などの生物学的経路が活性化される。
そしてこれらはうつ病の発症に関与さるのではないかと考えられている。
今回、アメリカのデンバー大学によるうつに関する研究で、大気汚染の影響は、身体的影響だけでなく心理的影響にも及ぶことが報告された。
これまで行われてきた10代の抑うつ症状とその要因に関する研究は、個人や家族に関する情報に焦点を当ててきた。
そのため、物理的な環境要因については未だ十分でないという。
今回の研究では、4年間にわたる10代の抑うつ症状の記録と、オゾン曝露(吸引)の調査を行った。
研究者チームは、サンフランシスコ・ベイエリアの10代213人のランダムな人種を対象に調査を行った。
研究期間中、研究者は被験者に最大3回、抑うつ症状と他の精神病理学的症状を自己報告させた。
合わせて、被験者の自宅住所に基づいてオゾン曝露を計算した。
この調査の結果、研究者らはより高いレベルのオゾン曝露がつ症状の増加と深く関連し、オゾンレベルが増加するにつれて、抑うつ症状が顕著に現れていることを発見した。
研究チームは、この結果により、オゾンを含む大気汚染が若年者の抑うつ症状の発症の原因として見過ごされている可能性が裏付けられたと考察している。
とはいえ、オゾンレベルの精度が低いことや抑うつ症状が自己申告である点などから、調査の精度には課題が残る。
今後の研究では、全身性の炎症・神経発達・ストレス性の変化に加え、社会的・生物学的因子、および大気汚染と精神衛生症状との時間的関連にも取り組むべきであるとされている。