名取宏先生が教える!自分に最適な食事を選ぶ方法

ネットをはじめとして、昨今では全てのメディアにおいて、様々な医療情報が発信されています。
特に「食事法」は、目まぐるしく新情報が発信され続け「どれがベストなのかわからない」と悩んでいる方も少なくないでしょう。

そこで今回は、 名取宏先生にお話を伺いました!


名取宏先生

内科勤務医。
世界中で取り上げられる医療情報の見極めについて、資料を用いながら紹介・分析する。
著書:『医師が教える 最善の健康法』、『新装版「ニセ医学」に騙されないために』。

―――世の中にはたくさんの「健康に良い」と謳われる食事法が存在します。こちらについて、先生のご意見をお聞かせください!

名取先生:

ほんとうにたくさんありますね。

明らかにダメな食事法は「食事だけでがんが消えた」などと称するものです。

ちょっと検索するだけでたくさん出てきます。

標準治療をきちんと受けた上で、無理のない範囲内でやるぶんならまだ害は小さいのですが、極端な食事法で栄養状態や人間関係の悪化を招くこともあります。


本当に健康によい食事は、バランスよくいろいろなものを食べるといったもので、あまり面白味がありません。

細かい点にこだわれば、最適な塩分摂取量はどれぐらいか、蛋白源はどのような食品がよいのかなど、論点はさまざまありますが、食事が個人個人に与える影響は小さいので、あまり気にしなくていいと思います。

頑張りすぎずに継続できるかどうかのほうが大事です。

―――具体的な例を用いてのご回答、ありがとうございます!それでは、自分に合った食事法を選ぶためのポイントについて、アドバイスをお願いいたします!


病気をお持ちの方は主治医と相談してください。

ある程度は個人の食の好みを優先させてもよいだろうと思います。

たとえば、体重を減らしたいとして、脂質制限でも糖質制限でも、どちらでもかまいません。

長期的には体重減少の効果は弱まり、最終的にどちらもそれほど変わらないとされています。

無理なく脂質を制限できる人は脂質制限を、我慢せずに糖質を制限できる人は糖質制限を選べばいいのです。


ついでに言うなら、本当に体重を減らさないといけないのかも個人の好みで選んでもよいです。

何かを我慢して体重が減ったとして、我慢の対価に見合うものかどうかは個人の価値観によります。

我慢するぐらいなら体重が減らなくてもいいという選択肢を選んでもいいのです。

医師は患者さんに「健康的な生活習慣」を押し付けがちで、昔は患者を叱る医師もいましたが、あくまでも選択するのは患者さんであって、医師はその意思決定を支援する立場にすぎないことを忘れてはいけません。

―――「体重を減らさないといけない」というのもまた、無意識の思い込みであることに気づき、衝撃を受けました…!
先生はインフルエンサーとして、医療ニュース等を基に情報発信をされていらっしゃいます。発信の際にはどんなことを意識されていますか?

名取先生:

できるだけ正確な情報発信を心がけています。

情報を受け取る人の健康や命にかかわるので当然のことです。

フォロワー数やPVはあまり気にしないようにしています。

情報発信はできる範囲内で無理なく楽しくやっています。

ブログのタイトルやツイートの表現をバズりやすいように工夫すればフォロワー数は増えるのでしょうが、そういうのはあまり得意ではありません。


オンライン雑誌に寄稿するときは、タイトルは編集者の方についていただいています。

「現役医師が断言!」みたいなタイトルがついて、それはそれで面白いです。

雑誌編集者は注目を集めてPVを稼ぐのが商売なので当然です。

私自身はあくまで本業は医師であり、インフルエンサーだとは思っていません。

―――名取先生、本当にありがとうございました!

私たちは自分たちの体についても「こうでなくてはならない」と決めつけがちです。
先生は、つい私たちが無意識のうちに受け入れてしまっている知識を、今回のお話で覆してくださいました。
そしてお話の中で、どんな医療情報を受け入れ日々に活かしていくかは、他でもない「私たち自身」の責任であると、身の引き締まる思いがしました。
また、先生の日々の寄稿や発信のウラ側についても、お伺いすることができました!

他にも名取先生は、日々に根差した医学に関する書籍を執筆されています。

医師が教える 最善の健康法 (内外出版社)

新装版「ニセ医学」に騙されないために ~科学的根拠をもとに解説 (内外出版社)

またTwitterのほか、プレジデントオンラインに寄稿を行われるなど、医療知識を発信されています。
ぜひチェックください!

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