皆さんはテレビや動画をつけたまま寝てしまい、疲れがとれなかった…という経験はありませんか?
そんな経験に関連する興味深い研究をドイツのザルツブルク大学が発表しました。
今回、研究者たちは17名の被験者に対して、自分の名前と知らない名前を親しい人の声と知らない人の声で聴かせる実験を行いました。
この実験では2種類の音を聞き分けられるのかと、音だけでなく言語情報も認識しているかの検証を目的としています。
人間の脳には自分の名前に反応する特殊なシステムがあり、雑踏の中でも自分の名前が含まれた会話に素早く反応できるというのです。
その2種類の検証を目的として実験を行ったところ、まず残念ながら自分の名前と知らない名前という言語の聞き分けはできないという結果でした。
しかしながら、”音”の聞き分けは行っており、「親しい人」よりも「知らない人」の声に強く反応しているということが分かりました。
知らない人の声を聴いた脳は、特定の種類の脳波での活動が著しく強くなった後、感覚処理にかかわる領域で大きな活動変化が起こったのです。
これは睡眠中であっても、脳が「知らない人の声」に対して警戒していることを示しています。聴覚から外の環境を常に監視し、記憶と照合しながら脅威度を判定しているというのです。
さらに興味深い点として、「知らない人の声」であっても継続して聞き続けていると、脳活動の警戒する領域が次第に鈍り、「親しい人の声」と同じ程度の反応しか見せなくなったと言います。
これは、脳が睡眠中であっても、「知らない人の声」が警戒する必要なしと判断(学習)していることを示しています。
つまり、テレビや動画をつけっぱなしにした翌日に何となく疲れていると感じるのは、知らない人の声が延々と聴覚を刺激して脳が学習疲れをおこしている可能性が考えられます。
このことから、質の良い睡眠をとりたければ、就寝前にはなるべく人の声を遮断するのが良いかもしれません。