Sho先生が教える!むし歯を防ぐのは「食事」!? 大事なポイント3選!

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歯の健康は、体全体の健康にもかかわってくるほど重要だと言われています。
定期健診に加えて、日ごろの生活の中でも、むし歯を予防したいものです。
そして実は、食事は歯の健康にも非常に関わってくるというのです!
食事の観点から日常的にできることには、どんなことがあるのでしょうか?

そこで今回、Sho先生にお話を伺いました!

Sho先生(山田翔歯科医師)

歯科医師
得意分野はう蝕学。「人類の食べるを守る」を志とし、むし歯の予防や、口腔機能の発達についての情報を発信している。
note「sho」

―――むし歯を防ぐために気をつけるべき「食のポイント」とは何でしょうか?

sho先生:

【気をつけるべき甘いものとは何かをおさえよう】

みなさん、「甘いものはむし歯になる」ということはご存知だと思いますが「甘いもの」というのが抽象的で分かりづらいのではないかな、と思います。

WHOは制限すべき「甘いもの」を『遊離糖』という表現で定義づけています 1)。

遊離糖とは単糖類(ブドウ糖・果糖等)及び二糖類(しょ糖・食卓砂糖等)のことで、人が食品・飲料に添加する糖類のほか、蜂蜜・シロップ・果汁・濃縮果汁中に天然に存在しているものを指します 2)。

WHOのファクトシートでは、「糖を添加した飲料、例えば果物ベースの甘味飲料やミルクベースの甘味飲料、100%果汁などが、また、菓子、ケーキ、ビスケット、甘味シリアル、甘いデザート、ショ糖、ハチミツ、シロップ、および保存料などが遊離糖の主要な供給源」としています1)。

新鮮な果物や野菜に含まれる糖、母乳や牛乳に自然に含まれる糖は含みません。

果物は食べてもいいけれど、果汁100%ジュースはダメということですね。

果物そのものは咀嚼することで唾液分泌が促されますが、ジュースになると噛まないので唾液が出にくく、むし歯への影響が大きくなります 3)。


【気をつけるべきタイミングをおさえよう】

むし歯と甘いものの関係を調べた古典的かつ重要な研究がVipeholm study(ヴィッペホルムスタディ) 4) です。

この研究では、食事に糖質を足したり、間食に粘着性の高いお菓子を提供するなどの介入を行い、食習慣とむし歯の関係性について調べています。

その結果、食事に糖質を足してもあまりむし歯は増えず、特に間食に粘着性の高いお菓子を食べるとむし歯が増えることが明らかになりました。

食事時は様々な食品を噛んでいるので唾液も十分に出ているため糖質を増やしてもあまり影響はなかったと考えられます。

なので、食事の料理に使う砂糖の量についてはさほど神経質に捉える必要はなく、おやつに関して特に注力したほうがよさそう、といえます。

また、間食の回数が増えるほどむし歯が増える、ということも研究から明らかになっています 5)。

特に間食の回数が2回と3回とで大きな差が出ていますので、1日のおやつの回数は2回までとしたほうがよいでしょう。

もし甘いものを食べるなら食後すぐにデザートとして摂る方がよいと言えます。


【特に幼い子どもは注意が必要!】

甘いものに気をつけた方がいいのはすべての年齢に言えますが、特に3歳以下のお子さんは注意した方がよいです。

むし歯を予防するためにできることは大きく分けて3つ。

歯磨きやフロスなどでのプラークコントロールと、歯磨き粉や歯医者さんで塗る薬に含まれているフッ化物と、食習慣です。

このうち歯磨きについては3歳頃までは仕上げ磨きが難しいことも多く6)、フッ化物配合歯磨剤についても飲み込むリスクがあるため500ppm以下のものを切った爪程度の少量しか使用できない7)(2022年現在)ことになっています。

そのため、食習慣の占める重要性が高くなります。

味覚の形成や習慣の定着の観点からも、3歳までは遊離糖は避けた方がよいと思います。

できれば口にしない方が好ましいですが、もし食べるとしても週に一度未満の頻度、つまり月に数回あるかないか程度に抑えておいたほうがよいでしょう。

なお、あまり甘いものを制限すると反動がこわい、という声もよく耳にしますが、あからさまに制限すると反動は起きる可能性が高くなりますが、それと分からない形で遠ざけておくことは反動の原因にはならないとする研究があります8)。

この研究では、ご褒美で甘いものを与えてしまうと問題が起きやすく、きちんとルールを決めておくことが好ましいことが示されています。

甘いものは節度をもって楽しむことが大切ですね。

とはいえ、今回の内容はあくまで一般論であり、個々への食習慣の対応は歯科医院でご相談ください。

―――食習慣の他に、むし歯予防で大切なことはどんなことがありますか?

sho先生:

むし歯を防ぐことに有効だと科学的に示されているのは、実は「フッ化物(フッ素)」だけです。

フッ化物の入った歯磨き粉を使わずに歯磨きをした場合はむし歯予防効果は見られなかった、とする研究もあります 9)。

もちろん、プラーク(細菌汚れ)のないところにむし歯はできませんから、歯磨きは大切です。

しかしむし歯は磨ききれないところでこそ発生するのです。

歯磨き粉の使い方には、年齢によってフッ化物濃度や使う量などに決まりがあります7)ので、歯科医院でアドバイスをしてもらって、それぞれにあった製品や使い方を教わるとよいでしょう。

磨いたあとはあまりゆすがずに吐き出すだけにするか、少量の水(ペットボトルのキャップに入る程度)で一度だけゆすぐようにして、フッ化物が口の中にある程度残るようにすることも大切なポイントです。

―――歯科医師・インフルエンサーとしてご活躍されている先生が、ご自身の健康を保たれるために意識されていることについて、お教えください!

sho先生:

むし歯予防に関する知識は歯科医師としてある程度もっていますので、プラークコントロール、フッ化物、食習慣での対策をそこそこに組み合わせて対応しています。

歯の話以外で言えば、月並みですが適度な運動と暴飲暴食を避けること、でしょうか。

そうはいってもたまに飲みすぎることはありますし、最近おなかもぽっちゃりしてきてしまいましたが・・・。

歩ける距離であれば車や電車などを使わずに歩くようにはしています。

あまり皆様の参考にはならないお話ですみません(笑)。

―――sho先生、本当にありがとうございました!

「甘いものを食べるとむし歯になりやすい」とは漠然と思っていましたが、甘いものにも種類があったんですね。
「果物は食べてもいいけれど、果汁100%ジュースはダメ」という事実には驚きました!
また、甘いものを食べるタイミングや、歯磨き粉のことなど、むし歯予防について勉強になることをたくさん教えてくださいました。

sho先生は note「sho」やTwitterにて、むし歯の予防や、口腔機能の発達についての情報を発信されています。
ぜひチェックください!

参考文献

1)Sugars and dental caries. WHO. 9 November 2017
2)内閣府 食品安全委員会 食品安全関係情報詳細 資料管理ID:syu04220570294
成人及び児童の糖類摂取量 2015
3)Fejerskov O, Scheie AA, Birkhed D, Manji F. Effect of sugarcane chewing on plaque pH in rural Kenyan children. Caries Res. 1992;26(4):286-9. doi: 10.1159/000261453. PMID: 1423444.
4)GUSTAFSSON BE. The Vipeholm dental caries study: survey of the literature on carbohydrates and dental caries. Acta Odontol Scand. 1954 Sep;11(3-4):207-31. doi: 10.3109/00016355308993924. PMID: 13196990.
5)WEISS RL, TRITHART AH. Between-meal eating habits and dental caries experience in preschool children. Am J Public Health Nations Health. 1960 Aug;50(8):1097-104. doi: 10.2105/ajph.50.8.1097. PMID: 13843752; PMCID: PMC1373416.
6)小笠原正,笠原浩,小山隆男,穂坂一夫,渡辺達夫:寝かせ磨きに対する幼児の適応性,小児歯誌,28 : 899−906, 1990.10.11411/jspd1963.28.4_899
7)日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会編 フッ化物応用の科学 第2版 口腔保健協会,2018.
8)Spielvogel I, Naderer B, Binder A, Matthes J. The Forbidden Reward. The Emergence of Parent-Child Conflicts About Food Over Time and the Influence of Parents’ Communication Strategies and Feeding Practices. Front Public Health. 2021 Jan 18;8:604702. doi: 10.3389/fpubh.2020.604702. PMID: 33537278; PMCID: PMC7848163.
9)Per Torell & Yngve Ericsson.
Two-Year Clinical Tests with Different Methods of Local Caries-Preventive Fluorine Application in Swedish School-Children.
Acta Odontologica Scandinavica.1965,23,287-322.

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