1杯の牛乳を毎日飲むだけで脳梗塞予防?ー岩手医科大学が牛乳摂取と脳卒中発症リスクの関連を解明

あなたは日常的に牛乳を飲んでいますか。
牛乳にはバランスのとれた栄養素が含まれており、ストレスの緩和や安眠など、様々なメリットが知られています。
そんな中、岩手医科大学が女性に限っては毎日1杯程度の牛乳を飲む事で脳梗塞予防の効果があると発表しました。

これは岩手県北地域の14,111人を対象に、10年間にわたる食物摂取頻度の追跡データを用いて関連を明らかにしました。
そこでは牛乳を摂取する頻度から「週2杯未満」、「週2杯以上7杯未満」、「週7杯以上12杯未満」、「週12杯以上」の4グループに参加者を分けました。

その結果、「週2杯未満」のグループに比べ、「週7杯以上12杯未満」のグループが47%も脳梗塞発症リスクが低下していると分かったのです。
なお、こちらの結果は女性に限った結果であり、男性ではこの減少が見られなかったようです。
その理由としては、男性が女性に比べ脳卒中を引き起こす条件(喫煙や多量飲酒)を持っている人が多かったため、影響が分かりにくかったため引き続き研究が必要であると研究者は述べています。

加えて研究者は、牛乳を摂取する事と脳梗塞予防の関連として2つの理由を挙げています。


まず、1つ目は習慣的に牛乳を飲んでいる人は、バランスの取れた食生活と健康的な生活習慣をおくる傾向にあるということです。

今回の研究でも「週2杯未満」の人に比べ、日常的に牛乳を飲んでいる人は、タンパク質やビタミン、ミネラルを含む食物を多く摂取しており、習慣的な運動に加えて飲酒・喫煙する人が少なったというのです。
つまり日常的に牛乳を摂取する人は、脳卒中になりにくい生活をしているということです。

そして2つ目は、牛乳に多く含まれている栄養素が血圧を下げる等のリスク低下に影響しているということです。


カルシウムなどをはじめとしたミネラルは牛乳に多く含まれており、それらは血圧を下げる効果があります。
参加者の中でも「週2杯未満」の人に比べ、日常的に牛乳を飲む人は血圧が低い傾向にあることが分かりました。
高血圧は脳卒中を引き起こす最大の要因とも言われているため、牛乳を飲むことで高血圧を防いでいる可能性があるというのです。

脳卒中は三大疾病のひとつでもあり、日本人の死因として常に上位にあります。
運動やバランスの取れた食事など、結局は健康的な生活習慣が一番の予防となるでしょう。
しかし、それが難しいという人は、まず牛乳を飲む事から始めてみてはいかがでしょうか。

用語集

脳梗塞:脳内の血管が細くなったり、血栓ができて血管が詰まることで発生。
主な症状としては、左右どちらかの手足や顔面が痺れたり、動かしにくく、ふらつきや嘔吐、しゃべりにくくなるなどが挙げられる。

また、脳梗塞を引き起こす大きな原因は、動脈硬化だと言われる。これは加齢などにより血管が硬くなる。
そのため、コレステロールなどが多いドロドロの血液が血管へ付着しとどまってしまう。その結果血液が固まりやすくなり血栓ができるという仕組み。

脳卒中:脳の血管が詰まったり、破れることによって、脳が障害を受ける病気。脳卒中を発症すると、障がいを受けた脳が指令を出す身体機能や言語機能が失われ、最悪の場合死に至ることがある。
また、脳卒中の中でも脳の血管が詰まる”脳梗塞”や、血管が破れる”脳出血”、”くも膜下出血“に分類することができる。

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