誰しもたくさん食べれば満腹感を感じることができるが、この感覚のメカニズムは未だ解明されていない。
今回、アリゾナ大学の研究により、この満腹感に関わる脳の領域と神経回路が発見されたという。
これまでに行われてきた研究では、満腹感を司るのは脳の「扁桃体」にあると考えられてきた。この部分は、恐怖や痛み、悲しみといった感情をコントロールする部分でもある。
しかし、複雑な作りゆえにそれ以上の特定はできていなかった。
満腹感を司る脳領域
そして今回、マウスを用いた調査により、視床下部傍核と呼ばれる脳領域が関係していることがわかった。
また、満腹感には一つの脳領域だけではなく、複数の脳領域が関わっていると考えられるとのことだ。
研究者の一人、神経科の准教授であるカイ氏は、次のように話している。
「食べることと感情は異なる行動のように思えますが、実は互いに密接に相互作用しています。」
「ストレスを受けると過食になる人もいれば、食欲がなくなる人もいます。摂食障害や肥満の人の中には、異常な摂食行動をする人もいますが、精神的・感情的な問題も抱えている場合がよく見られます。
食べることをコントロールする神経と感情を制御する神経の相互作用を特定すれば、食欲のコントロールや治療薬の開発にも役立つでしょう」