皆さんは、普段の食事に気をつけていますか?
満遍なくバランスのとれた食事が一番健康的だと言われています。
しかしこと”がん”においては、ある食事をしている人たちの方がリスクが低くなるというのです。
それは、”ベジタリアン/ヴィーガン”の人達です。
世界的にも菜食の人は増加傾向にあるようですが、菜食とはどのよな食事なのか、またなぜがんのリスクが低いのかご紹介していきます。
ベジタリアン/ヴィーガンとは?
ヴィーガンやベジタリアンなどよく耳にしますが、その違いについてはご存知でしょうか。
まずベジタリアンとは、動物性食品(肉、魚介、卵、乳製品)を避け、野菜、果物、いも類、豆類などの植物性食品を中心にとる人々のことを指します。
しかし実際は主義・思想などからベジタリアンには、以下のような様々なタイプがあるそうです。
ヴィーガンというのは、ベジタリアンの一種でより厳格な菜食主義ということになります。
・ヴィーガン:肉類や魚介類はもちろん、卵や乳製品、はちみつなども全く摂取せず、完全に植物性食品だけを摂取する人のこと。
・ラクト・ベジタリアン:植物性食品と牛乳やチーズなどの乳製品を摂取する人のこと。
(肉類、魚介類、卵は避ける。)
・オボ・ベジタリアン:植物性食品と卵と卵製品を摂取する人のこと。
(肉類、魚介類、乳製品は避ける。)
・フィッシュ・ベジタリアン:植物性食品と魚介類を摂取する人のこと。
(魚介類でも養殖されたもの、肉類、乳製品、卵は避ける。)
・ペスカタリアン:植物性食品と魚介類を摂取する人のこと。
(肉類は避けるものの、乳製品、卵、はちみつなどは摂取する人もいる。)
また、主義・思想だけでなく、肥満などの生活習慣や美容・健康、環境問題、動物の扱い方など多くの要因から菜食をする人が多いようです。
漠然と健康に良さそうだとは思いますが、”がん”とはどのような関連があるのでしょうか。
研究内容
オックスフォード大学のCody Watling氏ら研究チームは、肉類の摂取量とがん発症との関連について前向き研究(※1)を行いました。
イギリスUKバイオバンク(※2)の(40~70歳)参加者47万2,377人を対象に、方法としては、対象者へ質問票を用いて肉の摂取量について調査。そのうち、以下のような4つグループに分類されました。
・週に5回以上肉を摂取する人:24万7,571人
・週に5回未満肉を摂取する(摂取量が少ない)人:20万5,385人
・肉の代わりに魚を摂取する人(ペスカタリアン):1万696人
・ヴィーガンを含めたベジタリアン:8,685人
平均11.4年の追跡を行った結果、週5回以上肉を摂取する人に比べ、摂取量の少ない人やペスカタリアン、ベジタリアンの人達は、全てのがんの発症リスクが低いと判明したのです。
また”がん”の種類別では、週5回以上肉を摂取する人と比べた発症リスクが、以下のような結果となりました。
・大腸がん:肉の摂取量が少ない人は9%低い。
・乳がん:(閉経後の女性限定)ベジタリアンの人は18%低い。
・前立腺がん:ベジタリアンの人は20%、ペスカタリアンの人は31%低い。
以上のことから、肉を摂取することとがんの発症リスクが関連していることを示していると研究者らは述べました。
しかしながら、BMIの低さやベジタリアンの中でもすべての人が健康的な食事をしているわけではないことから完全な証明とは言えないとのことです。
冒頭でもお伝えした通り、バランスの良い食事をすることが一番健康的であることは間違いありません。
しかし食の偏りが気になる人は、まず肉の摂取量を少し控え、その分野菜を取ってみてはいかがでしょうか。
覚えておきたい用語集
※1)前向き研究・・・前向きと後ろ向き研究というものがあり、これは時間的な向きを指している。過去に生じた現象を調査するのが後ろ向き研究というのに対して、将来に生じる現象を調査するのが前向き研究という。
例)前向き:○○を食べるグループと食べないグループで、~年後にがんの発症リスクを追跡。
後ろ向き:がんになったグループとならなかったグループで、過去に○○を食べた頻度を追跡。
※2)バイオバンク・・・ある集団の試料(血液や脳脊髄液など)を集めて、国内外の大学・製薬会社などの研究者に届ける研究のための基盤。
バイオバンクがあることで、試料を無駄なく効率的に使用できるだけでなく、試料や情報の集め方を一定に整えているため、より質の高い研究が可能になる。
特に、イギリスのUK-Biobankは世界で最も大規模なバイオバンクとして知られている。