冬の寒さもそろそろ終わり、ここ数日は春らしい気候が少しずつ増えてきましたね。
近年は春から夏への移り変わりがあっという間ですが、
気候に関連して、筑波大学より興味深い研究が報告されました。
なんと、短時間でも炎天下の中歩行すると、その直後のテスト正答率が歩行前に比べ3.6%も低下していることが判明したのです。
研究の内容
先行研究では、熱ストレスがかかる屋内での長時間歩行が、仕事や学習などのパフォーマンスを低下されることは示されています。
しかし昨今の日本では、室内は空調が効いており、どちらかと言えば暑さの厳しい屋外との短時間の往来が多いと言えます。
そこで同大計算科学研究センターの日下教授らグループは、暑い屋外を短時間歩行することが、その後の室内でのパフォーマンスにどのような影響を及ぼすのかに着目しました。
研究対象は96名(男性65名、女性31名)の大学生もしくは大学院生で、筑波大学・立正大学・東邦大学キャンパス内の屋外/屋内を利用し簡単な足し算テストの変化を評価しました。
その結果、熱中症厳重警戒日(暑さ指数が28℃~31℃未満の日)に屋外を15分間歩くと、直後の室内でのテスト正答率が歩行前と比べ3.6%低下したのです。
その一方で、同環境でも15分座っていた参加者のテスト正答率に変化はなかったといいます。
このことから、熱ストレスと歩行という組み合わせが、直後のパフォーマンス低下に影響を与えていたことが分かりました。
また、この研究の新規性として、性別や睡眠時間も考慮して検討が進められました。
そちらに着目した解析では、睡眠時間が短いほど歩行後のテスト正答率もさらに低下していたことが分かりました。この傾向は睡眠時間が5時間未満の参加者に顕著であり、女性よりも男性に強くみられていると言います。
実際に、睡眠時間5時間未満の男性が炎天下歩行すると、直後のテスト正答率が9.1%も低下したのです。
また、低下したテスト正答率が元の水準まで回復するのには、屋内に戻ってから50分が経過してからということが確認されました。
研究チームは、今後の日本での生産性や学習効率を向上させるために役立つ研究であるとともに、緩和策の評価等さらに研究を進めていくと述べています。