やる気が湧かずだらだらしてしまったり、気持ちが落ち込んでネガティブなスパイラルに陥る経験はだれしも持っているもの。
そんな状況を改善するための具体的な方法について、ゆうメンタルクリニックの佐藤一医師に話を聞いた。
◆ やる気を引き出すには運動!?
やる気を沸き立たせるのに最も効果的とされるのは「運動」だと佐藤医師は話す。
人間は物理的に動き出すと実際にやる気も湧いてくるという特性がある。
ぼーっと動かないでいるとだるくなるが、体を動かしていくとどんどんやる気が湧いてくる仕組みだ。
実際にスポーツ選手を例に取ると、ローテンションな人は少なく、はつらつとしていて前向きな印象がある。
これは前向きな人がスポーツを選ぶという心理的側面もあるが、同時にスポーツで肉体をひたすら動かすことによって気持ちが活性化していく面があると考えられる。
逆に家でだらだらとぼーっとしていたり、ネットをひたすらだらだら見たりする人は全体的に気持ちが落ち込んでくる傾向にある。
◆ ネットをだらだら見ながら元気な人はいない
「ネットをだらだら見ながらも『はい!僕元気です!』みたいな人はあんまりいない」という状況からも、運動量と気持ちの活力は比例すると考えられる、と佐藤医師は話す。
「運動」というと外を散歩したり筋トレをしたりすることを思い浮かべるかもしれない。
もちろんそうできれば理想的だが、ぼーっとしている時にそのようなエネルギーが湧くのは困難である。
これは「止まっている車にいきなり走れと命令するようなもの」で、体が止まってエネルギーもない状態で運動を求められても「めんどくさい」となるのは当然だ。
そこで推奨されるのが「肘を折り曲げる」動作。
これはジムでダンベルを上げ下げするような運動を何も持たずに行うもので、どれだけぼーっとしていても腕だけで出来る簡単なものだ。
この動作は「本当にやる気がなかろうが、寝っ転がってようが、眠かろうが、絶対にできる運動」とされている。
ただし簡単すぎて負荷もあまりないため、運動している実感が薄い。
そこでもう一つの工夫として、もう一方の手で手のひらを押さえて抵抗を与えてみてほしい。
◆ ダンベルなしでダンベル運動ができる
反対の手で抵抗を与えながらぐっと持ち上げることで、「とても軽いダンベルを持ち上げるのと同じ運動をダンベルなしでできる」という。
この方法は寝っ転がっていようが、どんな体勢でも実行可能である。
時間があれば手を交換して行うことで、本格的な筋トレと同様の動きを日常的に取り入れることができる。
実際に行うと、気持ちが持ち上がってくるのが分かり「エネルギーが湧いてきた、よしじゃあちょっと動くか」という気持ちになりはしないだろうか?
もしそれすらも面倒な場合は、指を動かすだけでも動くエネルギーになる可能性がある。
指を動かしたら次は手のひらも動かせそうになり、手のひらが動かせたら肘も動かせそうになる、という具合に、少しずつエネルギーを増やしていくことができる。
「だらだらしてやる気が湧かないからどうしようと気持ちだけで考えるのではなくて、本当に指や手だけでも動かしてエネルギーを湧かせることが重要」と佐藤医師は話す。
ぜひあなたも試してみてはいかがだろうか。
【ネットの反応】
・気合よりもまず身体をちょっと動かすのが大事なんですね
・めんどくさい気持ちに勝てるかどうかが勝負
・いろいろ考えて結局やらない私にとって最初のステップが軽いのはありがたい
・とにかく止まらないことが大事なのかもね
東京大学医学部卒業。専門領域は発達障害と心理分析。
現在はゆうメンタルクリニック顧問。
大学ではコミュニケーションスキルの研究を主に行っており、「いかにうまく気持ちを伝えるか」をテーマとして書籍を執筆中。